魔王と勇者と暗殺者第三十九話
その日、勇者たちは歴史を知った。
言葉も出ない。いや、大まかな説明であったために知りたい事は多かったのは確かにある。だが、それ以上に情報量が多すぎたのであった。理解し、汲み取るには時間を要する。
「本来ならば、これほど性急な情報の開放は行って来なかった。ここ数百年は。」
マスターの言葉は重く、また矢継ぎ早であった。ハルカ達は小休止を入れてもらい各個での理解を求められていた。
結果から言えば、ハルカ達は信じた。それは、カズヤやハルカがこの世界の人間ではないという土壌を全員で共有していたからかもしれない。
古い貴族体制が敷かれている環境で育ったイーナも理解を示したのが良い証拠である。それほど、ハルカを信頼し、マスターの話に信ぴょう性があったという事だろう。
だが、マスターが言ったように、ここまで性急に説明する必要がなかったのだ。
今はそれほど情勢が動いてきているということであり、その事を全員が察していた。
だからこそ依頼を受ける。今、ハルカ達にはようやくと言っていい。本来するべき事が明確に示された。
ある種、カズヤとハルカには良い方向へと向かう情報でもあった。
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