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十ノ一 壱

「一磨、生きて」

 夢はいつもその言葉によって終わりへと突き進んでいく。夢の中の暗がりは夜を指し示すものだが、やがては光りを発し世界を白く染めていく。
 一磨はそんな夢を良く見るようになったのは、六歳の頃からだった。

 物心が付いた頃から一磨は母と二人きりで生きてきた。一磨の住まう家はとても大きく、それはたいそう立派な家柄の子供だった。その家の中で、二人は生活していた。
 宛がわれた一間は広く何も置かれていない畳の世界。襖を開けて外を眺めれば、そこには手入れが成された綺麗な園が広がり、真剣な眼差しで庭師が働いている。

 一磨は真っ赤な林檎のようなほっぺを膨らませながら、への字の口を作り、そんな世界を作り出す壁の向こうに見えた青空に焦がれた。いつか、あの壁の向こうを母と共に歩きたい。幼い心にそう誓い、一磨は生きていた。

 そんな一磨が、ここはこんなにも小さな世界だと知ったのはいつの頃だろうか。人々は何故、こんなにも辛く当たるのかを考えるようになったのはいつからだったか。

 物心が付いた頃から一磨は母と二人きりだった。間違いではない。



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まったりと更新する予定。

一応、異世界物。
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