小説短編 結末の迎え方
お爺さんとお婆さんは小さいころからずっとずっと一緒に居ました。
田舎の山村でガキ大将だったお爺さんと、
いつも無口だけれどお爺さんにくっ付いていたお婆さん。
小さいころはお爺さんが何度もお婆さんをイジメては
泣かせてしまっていましたが、山村ではいつもの風景でした。
本当はイジメているつもりのないお爺さんは、
困ったように右往左往としてしまい、
周りはまたかと笑いながらお爺さんを茶化しました。
怒ろうにも泣いているお婆さんのいる手前、
どうするべきか迷っているお爺さんに、
友達は謝るように声を挙げては帰り道を譲りました。
二人きりのほうが謝りやすい、という建前ですが、
皆はこっそりと二人の後を見つからないようにつけていました。
最初の内こそ双方とも一言たりとも語ろうとはせず、
ただただ真っ直ぐ帰り道を眺めているだけでしたが、
四度目ほどの頃合いにお爺さんが一言二言語りかけて、
お婆さんがこくりと頷いた事がありました。
それをしっかりと覗いていた友達が、
悪そうで楽しそうな笑顔を張り付けながら
その事を喋り散らかす翌日には、
真っ赤になって怒るお爺さんと
真っ赤で俯くお婆さんが喧騒の渦中に居りました。
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