長編小説 山賊は悪党で 弐参
山賊達がまず行った行動は、ニールの町から姿を消す事だった。ヘレナとクレアの静止も聞かず、山賊達は城壁に上り、そこから飛び降り消えて行った。
追う者は居らず、誰もが呆気に取られた逃走劇だった。今後、誰もが山賊に賛辞を言う機会は訪れる事が無く、町人の中からも、彼らが町を救ったという事に対する素直な気持ちは薄れていった。
ヘレナとクレアの初仕事は、ダニエルが山賊に殺されてから、二日後。
ニールの領主城では盛大な葬儀が行われた。謀殺されたラインハルト・グーテンベルク、そしてネーナ・グーテンベルクの葬儀は、喪主を双子姫の長女、ヘレナ・グーテンベルクが粛々と執り行われていった。
涙を見せまいと顔を強張らせる双子姫に、民衆は新たな統治者への期待と、支えていく決意を胸に、墓標の前で膝を折り、頭を垂れて行った。
墓標には、聖都教で用いられる形式を取った。不満はある。だが、聖都教という教えに罪は無い。ヘレナの言葉に、クレアは頷いた。それを民衆が文句を垂れる事などありはしなかった。
葬儀が終われば、次はヘレナが正式にグーテンベルク家の当主になり、領主となった。王都へは書状が届けられ、後日。任命官が叙任式を行うためにニールの町へとやってくる。
人々は気持ちを新たに、先に起こった事件を忘れる事無く、この町の緩やかなる発展を目指し今日もまた、働き。仕事が終われば酒を飲み、眠くなれば家に帰り、ベッドの中で、眠りに就く。そして、また朝を拝み、一日を謳歌していく。
最後の締めがいつも、上手く行きません。
次で一応最終話。
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