長編小説 山賊は悪党で 壱七
その日の夜、ニールの町は何処もお祭り騒ぎとなっていた。それこそ酒屋から宿屋に至るまで、町全体は明日行われる処刑に沸いた。
ある者は怒りを持って、ある者は人の死を楽しみにし、ある者は怖いもの見たさに処刑場へ行くつもりでいた。
「いやぁ、君達の芸は面白いね。さぁ、入ってくれ」
ニールの町で随一と言われる高級宿には、その騒ぎに負けないほどの喧騒を引き連れてザックスが宿に入っていった。その姿に亭主は苦笑いを浮かべて応対する。なんといっても、奥の間を三つも買った金持ちだったので、粗相の無いように対応するのは当然だった。
「失礼します!」
後ろからぞろぞろと入ってくるのは如何にも芸人のような者達だった。色彩豊かな衣服を纏い、道化のような格好に、亭主もザックスの気分が良い理由をしっかりと理解した。
「亭主、私の客人だ。部屋を借りさせてあげてくれ、金は私が払うよ」
「ザックスさん。今日はえらく上機嫌だね」
「えぇ、久しぶりに楽しい思いが出来ましてね。これからさらにと言う所ですよ」
「騒ぎすぎないで下さいよ? 奥間と言っても、一般のお客様も居られますので」
「判っているさ! さぁどうぞ」
そのやり取りを行うとザックスを先頭に奥の間へ進んでいく。受け付けの横を通れば、中庭に出る。ここから奥に行った別館が奥の間と言われる高い宿となっていた。
「ザックスも案外と役者だな」
中庭に造られた屋根付きの廊下を歩きながら、ダンは小さく呟いた。真っ青なローブと白い肌色が妙に似合っている。
「商人はいくつもの役を演じきるものですよ」
「勉強になります」
ボーは髪を降ろして女性物の衣類を着こなしている。昼間にザックスと出会った時の服装であった。
「相変わらず、可愛いなぁ。ボーは」
「気持ち悪い声を出さないで下さい」
ユーリの言葉に、ボーは顔を顰める。
「ユーリ」
「はいはい。そう睨まないでくださいな」
ダンの鋭い視線にユーリは身を竦ませながら、廊下を渡り、別館へ入室していく。
既に、ランプの蝋燭には火が灯り、暖かい光で室内を照らし出している。ザックスはしっかりと鍵を閉めて皆を適当な席へ誘う。
当初の設定だとザックスは一話以降出てこない。ガヤ要員だった。
当初、ボーは『私』が人称だったが、ザックス続投で『僕』に。
ヴァルトとダニエルの牢獄での対話や、投獄されている領主との会話なんて考えたけど、まずダニエルはそんな行動取るはずもないと思いバッサリ削りました。
領主はもう死んでます。一応、幽閉は機密扱いなのに、罪人と同じ牢屋近くにいるのもおかしな話ですし。
終盤やエピローグに苦心。
あっさり、かつ強引に終わる予定。
何でもかんでも最近の作品は強引に終わる気がする。
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