短編小説 前と僕と後
自分の行動を見直そう。そんな切欠なんてものは、大抵の出来事において運が悪いものだと、僕は感じている。そんな時に、神様なんて居るかどうかも判らない存在を恨んでしまう僕は、きっとそうした実像の無いものに有耶無耶ながら起こった物事を押し付けて、自分という体裁でも保っているのだろう。
そんな変に哲学的な考えをしなければならないほど、僕は今置かれている状況に嫌気が差していた。とにかく、午後から大学の講義に参加するため、三年間通い慣れた、学生通りと言われる大学へ続く一本道を僕は駅からずっと歩いてきたはずだった。
今も、視線を少し上に向ければ坂道の終着点が見え、小さくもはっきりと大学の門が開かれている。
横を向けば、交通量の少ない自動車道が通りの真ん中を貫き、歩行者天国でもないのに、学生らしき若人達が、跋扈しているのを見る事が出来た。
彼らは僕の置かれている状況を敬遠しながらも、好奇の色を隠そうともせずに見つめては去っていく。
「付き合ってるんです。私達」
僕の斜め後ろへ勝手に陣取りながら、右腕を妙にぎこちなく握る一人の少女が言った。
僕と少女の目の前には、スキンヘッドで目つきの悪い、如何にも不良だと言える風体をした男が居て、少女はそのスキンヘッドに向けて喋っていた。
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