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小説 山賊は悪党で 壱四

長編小説 山賊は悪党で 壱四

教会に踏み込んできた騎士団に信者は慄き、助司祭などは訳も判らずに拘束されていく。喧騒が混乱を呼び込むも、ダニエル騎士団長を筆頭に整然と教会関係者を拘束していく騎士達の動きは、無駄がなかった。
 やがて、奥の居館は包囲され、教会の周りは怒りをぶつける民衆が押し寄せると、待っていた衛兵が肉の壁となって暴動を抑え込んでいく。
「こ、これは何の真似だ、ダニエル!」
 自室に篭っていたカスパルは、丸々と太った身体を揺らしながら席から立ち上がると、ダニエルを指差して大声を挙げた。
 ダニエルは心底、呆れたように小さくため息を吐き出す。
「何の真似? 貴様が双子姫を攫った事は既に知られているぞ!」
「う、裏切ったな!!」
 カスパルはそう捲くし立てたが、カスパルは笑みを滲ませる。
「何を言う。まだ、その狡猾な頭を使うか」
「な、何を――!!」
「拘束しろ!」
 声を挙げ、首を動かし騎士をカスパルに向かわせる。抵抗らしい抵抗も出来ずに、カスパルは拘束され、床に倒されて手枷を掛けられる。
「や、やめろ。私に触れるな! 私は司教だぞ、聖都教の司教様であるこの私に容易く触れるでない!!」
 今になってようやく暴れ始めるも、屈強な騎士二人に連行されていく。ダニエルは尚も叫び続けるカスパルの口を塞げと残っていた騎士の一人に命令する。
「金に溺れた亡者め」
 侮蔑の混じる言葉と苦々しい顔であった。
「証拠品を応酬しろ」
 命令された騎士達は司教だった男の室内を物色し物品を木製の箱に詰めていく。高級そうな調度品や置物から、書状や本に至るまでを運び出される。
 その行為は、居館内全てに等しく行われ、押収が終わった夜は更けて月が大きくもはっきり見えていた。





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