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長編小説 山賊は悪党で 壱拾

長編小説 山賊は悪党で 壱拾

山賊のねぐらに二人の少女が肩を寄せ合って、獣の臭いが漂う布に包まりながら眠っている。
 既に日が高く昇っているものの、彼女達が目を覚まさないのは、夜のうちにディックがぐっすり眠れるようにと木の枝を集めて簡単な草木の壁を作ってあげていたからだった。その壁によって日の光は僅かな森の中でより一層僅かな木漏れ日となって降り注いでいる。
 風が優しく戦(そよ)ぐと草木の壁がざわざわと音を奏で、その隙間からヘレナの瞼を光が照らす。夢うつつだったヘレナはその光によって急速に覚醒していくが、危機感を持って目覚めたわけではなかった。
「んっ……」
 少々、獣臭いと訝しがりながらもいつものような日常が今日も始まったと言わんばかりに目を擦り、上半身を起こすと伸びをする。少女の行動は、歳相応ではあったがやはり貴族の息女を思わせる空気を身に付けているような優雅さを漂わせる。
 だが、ここでヘレナは自分が非日常に置かれている事に気付き始める。ここは、何処だろう。そう逡巡し、妹のクレアを探すと姿が見えない。これに、慌てて
「クレア!」と叫んで探し始めようと身体を起こす。
 しかし、草木の壁が唐突に揺らめくかと思えばそこから熊の顔が現れたのだ。これには、ヘレアも大声を挙げざるを得ない。
「きゃぁ!!」
 叫び声を挙げて座り込んでしまったヘレナに熊のディックは表情の変わらぬ顔で口を動かした。
「おはよう」
 あどけない声と挨拶に、ヘレナは昨日の出来事を走馬灯のように思い出していく。



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そろそろ事態が動いてくるはず。
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