長編小説 山賊は悪党で 五
日は陰りニールの町に闇が舞い降りる。夜の出入りを監視する事と犯罪防止による行為で、城門にかがり火を立て、その横に衛兵が立っている。
他の町により近ければ夜でも出入りはあり、衛兵も忙しかったかもしれないが、ここはニールの町で夜の警備と言えば眠気との戦いだった。
今日もそうなるはずだったのだが、ニールの町内から疾走する四頭の馬に引かれた馬車が城門から外に飛び出していった。次第に、町中が喧騒に包まれ、衛兵が口頭で事態を説明し、やがて領主城にまで波及していく。
教会に向かった領主の娘二人が誘拐され、領主様の容体が急変して指揮を取れない。代わりに指揮を執り始めたのが教会を管理するカスパル司教で、騎士団長で二十年間、領主に仕えてきたダニエルも已む無く、その指示に従うという。
町は俄かに活気とは違った喧騒に溢れていく。
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テーマ : 自作連載ファンタジー小説
ジャンル : 小説・文学