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魔王と勇者と暗殺者 第四十七話

ファンタジー小説 魔王と勇者と暗殺者 第四十七話

 女が悲鳴を挙げる必要がなくなったのは、どれほどの化け物を殺した頃だっただろうか。山積みされた生き物だった物らが足の踏み場もあるか怪しいほどに散らばっている。歩むたび、血溜まりに足をとられそうになるほどだ。壁の女はどこか、安寧とした顔をしながら事切れている。眉間からは血が滴り落ち、綺麗に切り開かれた傷からは脳漿が見えていた。

 佇むのは一人の勇者だけで、その勇者はブツブツと何かを呟いては俯いていた。

「ハル……ちゃん?」

 その言葉にハルカは反応しなかった。カズヤは怯えながらも、ハルカの元へ歩み寄りたかった。だが、辺りに散乱する物を把握すると引き攣った顔を見せて、足が動かなくなる。それは、護衛の二人も同じようなものであった。一緒に旅を続けてきた仲間意識を持っていたのだろうか。今のハルカはあまりにも衝撃的に見えていたのだ。

 その中で、一人。カインだけは異常性の他に危険性を察知する事が出来ていた。もう何度目だろうかと思える左腕の疼きが激しさを増す。半ば慣れたといってもまるで、急かす様な左腕に改めて生き物である事を認識させられていた。

「ぐっ」

 呻き声が思わず零れ落ちるが、この空間の中でその呻きを心配する者は誰一人居なかった。そんな事はお構いなしに、左腕が自由気ままだ。勝手に左腕は形を変えていくと射撃状態へと移行した。何が起こっているのかを理解する前に、カインはその左腕の意志を尊重させたのは何よりも、自分の中の経験が従うべきだという決定を下しているからであった。気味が悪いなどという感情は度外視し、この目の前の光景で起こりうる可能性を考えた場合にこの行動が最良であると判断した。

 その判断が最良であると考えたのは何故か。素直なまでに、カインの中では「判らない」と一言で片付けられている。それでも、いま目の前にいるハルカ以上の脅威がこの空間で息を潜めていると感じたのは確かなようだ。その直感とも、違和感とも違う。今まで感じたことの無い得体の知れない何かを知らせた左腕と、カインを襲う衝動が反応させた。

「カ、カインさん!」

 カズヤがようやく気付いたようで驚きの声を挙げる。既に、射撃体勢に入っていたカインを止める事はできない。カインもその言葉に耳を傾ける事すらしなかった。

 一閃。赤黒い光線が翔けた。

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